日本からお越しの皆様へ

何度も台湾に来るのが難しい方には、初診で来られた際にお薬をお持ち帰りいただくことで、その後は2回のみ台湾にお越しいただければ結構です。
治療にかかる日数はおよそ16日間となります。ただし台湾滞在のご都合がつけやすい方などは、患者様ご自身にとって最良となる治療スケジュールを医師とご相談いただくことをお勧め致します。
体外受精治療について
体外受精(In Vitro Fertilization,IVF)治療とは、体外で受精し培養した受精卵を母体の子宮内に移植することで妊娠を促す治療方法です。体外受精治療の過程は排卵誘発、採卵、受精、胚移植、妊娠判定までとなります。
治療のポイントは女性の内分泌の変化をコントロールし、排卵を誘発後より多くの成熟な卵子を育てます。治療には適度のお薬を使用し、その量は患者様それぞれの状態に合わせて調整いたします。
卵子が成熟するタイミングを正確に把握、手術により卵子を取り出しラボにて精子と受精させます。受精卵はラボで培養し、再度患者様の子宮に移植します。そのため、試験管ベイビーという呼び名もあります。移植後は胚が子宮内で順調に成長するようだけとなりますので、体外受精治療の妊娠率は他の不妊治療と比べても高いものとなります。
体外受精治療に適している方
- 卵管閉塞の方:精子と卵子が正常に出会うことが出来ず、体外受精の方法でしか受精することが出来ない場合
- 精子の質が悪い方:精子の数が少なく運動率も低い、そして正常形状率の低い方や採精が困難など男性不妊の問題がある場合
- 何度も人工授精治療に失敗している方は、原因不明かもしくは一般的な人工授精の技術では解決できない原因で妊娠のチャンスを逃していることが考えられます。体外受精治療に進むことがより良い選択かもしれません。
- 重度の子宮内膜症をお持ちの場合、人工授精治療の成功率は比較的低く、体外受精での妊娠率の方が比較的高くなります。
- 35歳以上の女性は、体外受精治療を選択することでより早く効率よく妊娠するチャンスが得られます。
治療の流れ
どのタイミングでも初診にお越しいただけます。生理中でもそうでなくても、医師の診察を受けることで、あなたに最適な治療プランを作成いたします。
初診ではカウンセリングの他に不妊治療を行う上での基本的な検査を行います。検査内容は、血液検査、尿検査、精液検査、エコー検査、子宮鏡検査などです。
まずは基本的な検査を行った後に、徐医師が患者様の状況に合わせてアドバイスを致します。もう少し運動をした方がいいのではないか、中国医学で身体の調整を行った方がいいのではないかなど、身体の状態をより良いものにしてから治療に入ることでより良い結果を得ることが出来ます。
※この治療計画は参照用であり、個々の状態によって異なります。
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STEP1【渡台1回目】 初診
滞在期間 約2~3日間 診療内容 カウンセリングの他に血液検査、精液検査、エコー検査、子宮鏡検査などの基本的な不妊検査が行われます。 - 専属の日本語対応スタッフがつき、患者様への治療内容のカウンセリング、お薬に関するご質問への回答、結果報告などを行います。
- 治療に関しては患者様それぞれの状況により内容が異なり、また慎重に進めていく必要があるため、過去の治療の資料や検査結果などをお持ちください。当院の医師やスタッフと信頼関係を築いていただければと思います。
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STEP2【日本】 排卵誘発の薬・注射開始
- 生理の1~3日目よりお薬をスタートします。排卵のお薬で卵巣を刺激することにより卵胞の数を増やします。排卵誘発のお薬には飲み薬の他に注射のものもあります。
- 次の渡台前に、ご夫婦のお住まい付近のクリニックで卵胞の大きさとホルモン値をご確認いただきます。
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STEP3【渡台2回目】 採卵手術、採精、受精
滞在期間 約3~7日間 診療内容 血液検査、エコー検査、採卵手術、採精、受精 - 生理13~15日目に台湾にお越しいただき、ご夫婦の身分証明書(パスポートと健康保険証)、戸籍謄本などの婚姻証明書をご提出ください。
- 卵胞の育ち具合を観察します。 経膣エコーで卵胞の大きさや育ち具合と、採血検査でホルモン値(E2)の変化も観察します。 2~3回の診察を経て、患者様に合わせた最適なタイミングで採卵手術を行います。 採卵の前34~36時間に排卵促進の注射を打ちます。
- 採精前の禁欲期間は約3~5日となります。
- 全身麻酔をして採卵手術を行います。採卵にかかる時間はおよそ30~40分ほどです。手術後、当院で1~2時間ほどお休みいただき、ご帰宅となります。
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STEP4【台湾】 胚盤胞の培養
- 採卵手術の翌日にLINEにて受精の状況をご説明いたします。
- 受精後5~7日目に胚盤胞を培養します。
- 着床前スクリーニング(PGS)を受けた場合、結果は1~2週間後の通知となります。
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STEP5【渡台3回目】子宮内膜の調整、胚盤胞の移植
日程 約7日間 診療内容 子宮内膜の調整、胚盤胞の移植 - 生理12日目~16日目に診察を受けます。子宮内膜を厚くするために薬を飲んていただきます。
- 移植手術は胚盤胞を子宮腔内部に移植し、麻酔は必要ありません。また、アシストハッチングやエンブリオグルーを使用し着床を助けます。移植後は横になったまま15分ほどお休み頂き、ご帰宅となります。 移植後は黄体ホルモンの薬を服用下さい。
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STEP6【日本】妊娠確認
- 移植2週間後、ご夫婦のお住まい付近のクリニックにて採血をしていただき、妊娠を確認します。 妊娠8週目に心拍を確認します。
必要書類
初診の際は下記書類をお持ち下さい。
- ご夫婦の身分証明書(パスポートと健康保険証)
- 婚姻証明書(日本の台北駐日経済文化代表処にてご取得ください。)
- 半年以内に行った性感染症の検査結果(B型肝炎・C型肝炎、エイズ、梅毒、血液型)
- 過去のカルテや検査結果など
台湾で婚姻届を提出されている方
ご夫婦共に身分証の原本をお持ち下さい。身分証の裏面に配偶者の情報が記載されている必要があります。もしご夫婦のうち片方が外国籍の方の場合は、戸口名簿(台湾の住民票:ご提出時からさかのぼって3ヶ月以内のもの)をお持ちください。
台湾以外の外国で婚姻届を提出されている方
(身分証の裏面に配偶者の記名が無い方)
台湾に来られる前に居住国の台北経済文化交流処にて戸籍謄本の認証手続きを受けてお持ちください。
治療中に行う検査
海外在住の方が体外授精治療中に行う可能性のある検査や治療は下記のとおりです。
- 子宮鏡検査
- エコー検査
- 採血検査
お薬について
Pergoveris パーゴベリス

思春期前の停留精巣、脳下垂体成長ホルモンの分泌不全により生殖腺機能障害、黄体ホルモン機能不全が引き起こされる。
- 注射部位に短時間で消える軽度の赤みと痒みが出る可能性があります。
- もし不快感、嘔吐、頭痛、お腹の腫れ、腹痛などの症状が出た場合、卵巣過剰刺激症候群の可能性がありますので、医師の処方どおりの量を守って頂くことで上記のような症状が起こる可能性を下げることが出来ます。
注射の打ち方
- 両手を清潔に洗います。
- お薬の瓶と溶解液のアンプルの蓋を開け、アルコール綿でゴム蓋の部分を消毒します。
- 3ccの空の注射針を使い、1ml程の空気をアンプルに注射し、アンプルを上下に振ります。その後アンプル内の全てのお薬を吸いだします。

- 溶解液を全てお薬の瓶の中に注射し、ゆっくりと混ぜます。その際激しく振ることはしないで下さい。

- 3ccの空の注射器を使い、混ぜ合わせたお薬を医師の処方通りの量吸い上げます。

- 27G針に付け替え、注射針を上に向けながら注射の筒の部分を弾くようにして気泡を先端に集めます。少しずつ気泡を押し出しながら、注射針から一滴の薬液が出れば結構です。

- お臍から指2本分左下か右下の位置に中央から外へ円を描くように消毒し、皮膚をつまみます。注射針が90度の角度で皮膚に刺さるようにし、ゆっくりとお薬を注入してから針を抜きます。注射部位をアルコール綿で1分ほど軽く抑えます(揉む必要はありません)。

- ご使用後の注射器や注射針、ガラス製のアンプルなどはお手元に置いておいて頂き、次回の診察の際にスタッフにお渡し頂ければ結構です。

卵子凍結(Social Egg Freezing, SEF)は女性が年齢と将来設計を考える上で、生育権を守る最良の方法です。高齢の女性が染色体異常を持つ胎児を授かる可能性が高く、その主因となるのが卵子の老化です。

昔は男性はたとえ70歳になったとしても健康な赤ちゃんを産むことが出来ると思われていました。しかし最近の研究により、このような赤ちゃんは先天性異常や精神分裂、自閉症のリスクが、若い男性の精子に比べて高くなることが分かってきました。

不妊の原因は複雑で様々であり、卵巣や精子・卵子の質もそのうちの一つとなります。妊娠が難しい夫婦にとって、ドナーから提供される生殖細胞は彼らに幸せをもたらすものであり、愛を引き継いでいく喜びを得られるでしょう。
その他、ご不明な点などございましたら、お気軽にお問合せください。